【治療実例3】運動習慣があるにもかかわらず、すぐにつらくなってしまう首肩凝りが改善したケース

当院のケースレポートをご紹介

頭こりラボでは、マニュアルに乗っ取った治療ではなく、
お一人おひとりに合わせた治療プランを組み立てます。

概要

週に2回ほどはフィットネスジム等で身体を動かす習慣があり、動いた直後は首肩周りも多少ラクになる感覚はあるが翌日には辛さが戻ってきてしまう状態が改善した例。
I様 / 東京都在住 / 67歳 / 女性

症状

  • 左後頭部の凝り
  • 眼精疲労

状態

悩みまではいかないが、左後頭部に押すと痛む箇所があり、首や肩こりもある。

強度の近視もあり、常にコンタクト使用による眼精疲労もあり。

週に2回、パーソナルジムに行っている。1回60分。
股関節の硬さと足関節の硬さを指摘されている。行うトレーニングは満遍なく全身運動。

現在のジムでは運動不足解消の目的で通っている。

見立て

姿勢の影響が大きいと想定。

理想的な立位姿勢と比較して、

頭部前方変位、肩甲骨の外転、胸椎の後弯、腰椎前弯の増強、骨盤の前傾、股関節屈曲、膝関節の過伸展 が強い状況。

世界的に普及しているケンダルの姿勢分類でいう”カイホロードシス(後弯前弯型)“と呼ばれる状態であった。


後頭部〜首肩は、前方へ突き出ている頭部を支えるために過緊張となり凝ってしまっている。
目の疲労に伴い、眉間に力みが強くなり前頭部・目の周りの疲労もMAX状態。

日常的に運動は習慣化されているが、より姿勢や凝りに対してアプローチする要素を加えることで現状よりさらに生活の質があげられるお身体を獲得できると見立てた。

初期治療

後頭部の痛みはレッドフラッグ(※)の可能性が極めて低く、血行促進による頭痛増悪要素も否定できたため筋緊張の緩和を主として行なった。

ご本人のご意向で鍼治療は無し。手技をメインに筋膜リリース・肩甲骨のモビライゼーション・胸椎可動域の改善・顔面〜頭部のほぐし・セルフケアのレクチャーを中心に105分治療を2週間隔で2回行なった。

※医療におけるレッドフラッグ(RFs)とは、頭痛や腹痛などの臨床徴候や症状において、潜在する重要疾患を示唆する項目を指す。見逃してはいけない疾患を示唆する徴候や症状。

中期治療

後頭部の凝りの痛みは減少。
I様の主観として頭皮の柔軟性も増してきて身体の変化も感じてきている。セルフケアメインで行なっていた姿勢改善をブラッシュアップ。
治療時間の30分を運動療法の時間とし、マシンを使用した姿勢改善のためのトレーニングを組み込んだ。

主に、頭部前方変位の改善ために上背部(脊柱起立筋)のエクササイズおよびストレッチ、それを安定化させるための体幹のエクササイズ、正しい上背部のポジションを維持させた状態での股関節の運動。

後期治療

これまでに感じていた凝りや後頭部の痛みは消失。

今後はトータル治療に加え、短時間の運動療法のみの日も設け、より積極的に姿勢を改善することでお身体の凝りや不調を改善していく予定。

コメント

I様が改善に向かっている一つの要因として、すでに運動習慣があったこと、そして根本的に改善するためには、治療により緩んだ凝りがまたできてこないように積極的に運動療法へ取り組みたいというマインドがおありだったことが挙げられます。

様々な生活スタイルの方がいらっしゃいますが、当院にご来院いただく患者さんで最も早く”治療いらずな身体”を獲得できるのはセルフケアを高頻度で行える方、お身体を動かすことが苦ではない方という印象です。

当院ではIDマッサージや3D鍼と同様に運動療法にも重きを置いています。
長期的に見ると、お身体がつらくなる前に自分で対処ができるようなり、したがって、治療にかかるお時間や費用を最小に抑えることができるからです。

もちろん、現実的にセルフケアを高頻度に行える方ばかりではないことも理解しております。

そのような方々向けの仕事や家事の”合間”で行えるエクササイズや、何かをし”ながら”エクササイズなどもご提案できるよう多角的なアプローチに努めてまいります。

参考・引用文献
KENDALL, Florence Peterson, et al. Muscles, testing and function: with posture and pain. Baltimore, MD: Williams & Wilkins, 1993.